平成14年(2002年)度 第4回市議会定例会が,
11月28日から12月25日の期間開かれました.

この間に行われた尾関市議の一般質問を掲載いたします.
段落や区切りは編集局でつけました.

2002.12/27

日本共産党を代表し、市長並びに関係部局にお尋ね致します。

1.地域と企業の共生について

 日本企業の海外進出・生産がその水準、範囲にわたって巨大な規模に達しています。経済産業省の「平成12年度企業活動基本調査」によれば、海外子会社を保有する商鉱工業企業は、3,482社、海外子会社数は、18,368社に達します。海外子会社の5割超がアジアに集中しており、製造業では、55.3%がアジア、20.5%が北米に集中しています。

 いま、大企業は、空前の規模のリストラを続け、日本政府はリストラした会社の税金を減免することまでやって、リストラを応援しています。新聞に報道された一部上場企業を中心にした計画だけでも、約55万人にのぼる未曾有の規模になっています。労働者への攻撃にとどまらず、国民の所得、消費、生産の連鎖的縮小をもたらし、日本経済の危機的状況をまねいています。加えて全国で120ヶ所ともいわれる工場閉鎖や関連中小企業の倒産など地域経済を破壊しており、大きな社会問題となっています。

 これにどう対応するかが、自治体に問われています。

足利市においても、三洋電気空調株式会社(従業員800名)が、不採算商品の撤退や製造部門の海外移管などのために三洋電気株式会社東京製作所(群馬県邑楽郡大泉町)に開発製造拠点を統合するため、足利市から撤退することが三洋電気空調(株)から9月20日に市に対し報告されました。

 統合計画によると、当年9月中に工場管理部門の移動は、完了予定、本社の移転、製造、品質、技術部門の移動を平成16年3月までに完了予定になっています。問題なのは、9月20日に報告し、すでに工場管理部門は、移転をすすめていることです。

 この報告を受けて、吉谷市長は9月30日に三洋電気空調株式会社および親会社である三洋電気株式会社に下請企業への配慮、従業員の雇用、撤退後の同社の敷地活用などについての要望書を提出されました。機敏な対応は評価致しますが、企業側の一方的な計画に対してなぜ撤退をしなければならないのか、企業経営の実態は、どうなっているのか、従業員の雇用確保、関連下請企業への仕事確保などをどのように行なって行くのかなどを明確にした企業の社会的責任をどこまで追求されたのかはっきりしていません。

 統合する三洋電気東京製作所において、本年度中に各カンパニーや関連会社などで勤務する従業員約1万人のうち、約1,400人、さらに2005年までに600人、合計で2,000人の異動、配置転換を計画しています。報道によれば「海外への移転で縮小を余儀なくされる生産部門から、経営基盤の強化をはかる営業、サービス部門への配置転換や対外出向などを行なう」「県外への転勤者が9割にのぼる」とあります。

 大泉町長は、「大きな影響が出るのは、必至で町役場に相談室を設置し、対応策を検討している。制度融資を活用し、援助して行きたい」とわが党の群馬県東毛地区委員会の申し入れに回答しています。この計画に対して、足利市としても、踏み込んだ調査を行ない対応策を早急にとる必要があります。

 さらに、横河電気は、10月15日突然、2003年までに国内15工場を閉鎖し、4工場に集約すると発表。

 報道によると、存続するするのは、甲府工場のほか、子会社の横河エレクトロニクスマニファクチァリングの3工場(東京あきる野市、青梅市、長野県宮田村)であり、閉鎖する工場の千人に上る従業員は、グループ内で再雇用するとしている。

 現在の海外生産比率10%程度を05年には50%に増やし、国内再編による固定費の削減、海外集中生産による人件費を含めたコスト削減、などで、04年度は、100億円の『利益改善」を見込んでいる。

 横河エレクトロニクスマニファクチァリング足利工場(旧中浅測器)の閉鎖が明らかになった。横河エレクトロニクスマニファクチァリング足利工場は、足利市で戦後から営業を行なってきた気象関係機器の専門メーカーです。従業員は、家族帯同で他県へ移動するか、辞めて再就職となる状況に追いこまれます。

 横河電気役員と市長が話し合われたと聴いていますが、会社の一方的な閉鎖に対して、市として経営実態や従業員の雇用、地域経済への影響など企業の社会的責任はどのように追求果されたのでしょうか。従業員からは、「大幅な利益を追求しなければ、工場閉鎖をしなくてもすむのではないか。」「現状の体制維持か関連会社に統合するなどして、足利工場を存続させることができないか。」「ものつくりは人造りといっている横河が雇用の確保を優先できないのか。足利では、現状でも失業者があふれる状態にあり、企業の利益優先だけで、これ以上の失業者を出して欲しくない。」などの声が寄せられています。

 一方的な企業撤退に対して、市と企業間での十分な協議が求められているのではないでしょうか。足利市の地域経済に大きな影響をおよぼし、どうしたら企業を撤退させないですむか、庁内を上げての取組みが必要ではないでしょうか。地域に対する企業の社会的責任を明確に求めるべきです。

 その点で、参考になるのは、大阪府八尾市は、企業の一方的な撤退に「まった」をかけました。今年の9月オフィス・事務用品メーカーで知られるコクヨ(本社・東大阪市東成区)が八尾工場の閉鎖を突然発表、市民から昨年成立した「振興条例を生かして、コクヨ工場撤退問題への対策をとるべきだ」として申し入れが出され、市当局は、「庁内会議を開き、この問題を協議する」としています。

 中小企業域経済振興条例の8条は、『大企業者等は、中小企業と大企業が共に地域社会の発展に欠くことができない重要な役割を果たすことを、認識し、地域経済の振興に努めるものとする」と大企業の努力を規定しています。

 日本の経済が土台から崩れようとしている瀬戸際のときに、土台を守る重要な役割を果たす自治体の真価が今ほど問われている時はないのではないでしょうか。以上の状況を踏まえ市長にお尋ね致します。

・サンヨー電気空調株式会社、及び横河エレクトロニクスマニファクチャリングの両社の足利工場の閉鎖と業務の移転に伴う従業員の足利市内での再雇用・下請企業への企業責任と市の対応についてどのように考え、行なわれているのでしょうか。

・中小企業振興条例が制定されていますが、その中に企業の社会的責任を明記すべきと考えますがどうでしょうか。

・このような中で、企業誘致をすすめるのは、なぜでしょうか。

吉谷市長答弁

 両事業所の撤退に伴う雇用環境の整備については、足利公共職業安定所と足利労政事務所に対応を要請している。下請関連事業者の受注減は避けられないが、融資面なども考慮している。


2.介護保険について

 介護保険制度が始まって2年半が経過し、この10月から高齢者の医療費が完全定率化となり、お年寄りから「医療費が今までより2倍もかかるようになった」と悲鳴があがっています。

 保険料の負担も市の高齢者実態調査でも明らかなように、約半数の高齢者が重いと回答しています。普通徴収も年金月額15,000円以下の方たちなどが対象になります。収納率90.9%から88.5%に低下平成12年度は滞納額が3,385,820円、滞納者数は562名でしたが、13年度は1,3605,020円で滞納者数は1,005人となり、金額で約4倍に、滞納者数では約2倍に膨れ上がっています。累計では滞納額で16,246,540円、滞納者数では1,435人にものぼっています。

 保険料滞納者には苛酷なペナルティーが待ち受けています。サービスを受けている人が滞納すると、1年後から利用料の全額を支払い9割の払い戻しを受ける償還払いとなります。その後も続くと払い戻しすら差し止められ、保険料が差し引かれて、また過去の滞納分についての時効はなく、滞納期間分に応じて7割給付となるペナルティーが一生ついてまわることになります。他の制度には見られない執念深さです。

 高すぎる保険料が滞納者を生み、滞納者の増加は介護難民を生み出します。保険料の引き下げは急務です。

 当議会で保険料を2,879円とする209円の値上げ案が打ち出されました。介護給付費準備基金を取り崩せば保険料を引き上げないで済むのではないでしょうか。介護保険の認定者数は、3,883人(9月現在)となり、増え続けています。在宅で受けている人は、2,238人、施設入所者は793人、認定を受けながら、サービスを利用していない人が、852人もいます。介護保険を利用している人の支給限度額に対する利用割合は、平均で34%で、6月より、7ポイント上昇しましたが、全国平均39%より低い状況です。在宅サービスを使っている人も、保険で使える量の4割にも満たない状況です。

 なぜこのように介護保険、とりわけ在宅サービスの利用が伸び悩んでいるのでしょうか。『自宅に他人を入れたくない」といったケースももちろんあると思いますが、大きな理由は介護を受けるたびに求められる10%の利用料の負担です。

 在宅介護の利用低迷を打開するためには、1割の利用料の軽減がまったなしです。在宅介護の利用料を軽減している自治体では利用実績が伸びていることが報告されています。例えば武蔵野市では訪問介護、通所介護、通所リハビリテーションの利用料を所得にかかわりなく一律3%に軽減していますが、その結果在宅サービスの利用率は2001年度の平均で49.4%と全国平均を10%以上上回っています。

 在宅サービスの利用料を軽減すれば、介護保険が目指していた「在宅重視」への一歩となるだけでなく、施設入所を減らして保険料の負担軽減にもつながる一石二鳥の効果があります。

 特別養護老人ホーム入所希望実態調査の結果では、緊急に入所が必要な方が57名で介護度3〜5の方たちが77%を占めています。近い将来入所が必要な人が182人もおり、あわせて239人もいます。

 市の説明では8月に厚生労働省から出された「指定介護老人施設の入所に関する指針」が示され、県で統一的な基準の作成を準備中であり、この基準が出来れば、除々に待機状況は解消して行くとしていますが、在宅介護サービスの充実と利用料の軽減がされなければ、待機状況の解消は図れないことは明白です。

 以上の状況を踏まえ市当局にお尋ね致します。

・ 保険料の普通徴収の滞納者が増えているが、滞納者の内訳はどうなっているのでしょうか。特に低所得者の保険料の引き下げは急務です。

・ 介護給付費準備基金は、どのくらいでしょうか。その準備金を取り崩し、保険料の引き下げに使うことは自治体の判断でできる事になっていますが、引き下げる考えはないのでしょうか。

・ 利用料の減免、特に低所得者の利用料を訪問介護だけでなく、他の在宅サービスも3%にすべきではないでしょうか。

・ 特養ホーム待機者の実態調査結果を受けて、「すぐに必要」と答えた人が57人いますが、実状を把握し、入所準備をすすめているのでしょうか。また今後の計画で、実態に即した対応ができるのでしょうか。

・ 生活保護境界層の減額措置制度のPRはどのように進められているのでしょうか。

・ 障害者控除対象者認定書を要介護認定者へ送付など周知徹底をおこなうべきではないでしょうか。

国井福祉部長答弁

市独自の軽減方法で対応する。


3.学校給食についてお尋ね致します。

 今回の民間委託については募集期間の短さや、銀行の融資証明書の提出が条件となっており、銀行の融資証明書の発行には一定の期間が必要であり、結果として対象となる業者は最初から、かなり限定されることになり、募集方法にも疑問が残ります。子ども達の食の安全を守るためにも、公正さが求められます。

 民間委託によるメリットとして人件費の節約3,000万円と市当局は言っておりますがその根拠が不明確であり、明らかにすべきです。

 学校に栄養職員が配置されている場合と未配置では、子ども達の食品に関する知識に大きな差の出ることがアンケートによりはっきりでています。今後の学校給食の充実のため全国47都道府県実施校より都道府県教育委員会推薦の対象者1万1千名にアンケートを実施し、日本体育健康センターが集約をおこなった結果によりますと

 今回の調査では以下の点が明らかになっています。

1)学校給食が児童生徒にとっては、友達と一緒に食事ができる楽しみの場になっている。

2)朝食の欠食状況の割合が前回調査(平成7年)より高くなった。

3)朝食欠食と不定愁訴、学校給食の残食と不定愁訴の有症状率に関係がある。

4)児童生徒の生活の夜型が進んだ。

5)家庭に於ける調理済食品への依存度が高まった。

6)外食産業の影響が子ども達の嗜好に現れている。

7)児童生徒における3つの食品群に関する知識等について、学校栄養職員の存在の効果が正解率の高さとなって現れた。

 などが主な内容です。

 とりわけ、学校栄養職員の存在の効果を、配置校、未配置校で比較をしたところ、3つの食品群に関する知識については、学校栄養職員配置校の児童生徒の方が未配置校の児童生徒より正解率が高かったことであり、特におもに体の調子を整える食品(緑の食品)についての全問正解者の差は顕著、小学校で学校栄養職員配置校の児童の正解率が高くなっています。これは、単に知識だけを身に付けるだけでなく、同時に食の大切さを学びとっていると思います。

 民間委託に伴い、当初案では、栄養士の人数が減らされます。2人の栄養士が一番多い東部調理場で、小中14約4700人も担当しています。今でさえ、アレルギーを持つ子どもたちやの配慮など困難を抱えています。地産地消の野菜や市内産の小麦粉を使ったパンを給食に採用するなど地域の生産者とのつながりを伝えることも栄養士としての重要な役割になってきます。

 学校給食の民間委託により、給食への異物混入が全国で相次いでいます。栃木県においても南河内町では祇園小学校で、連続して異物混入が発生し、業者との契約解除、給食を一時中止し、弁当持参という事態まで発生しています。足利においても民間委託された調理場から、異物混入の事実があったことが他の議員より明らかにされています。安全に対する人員配置や環境が十分なのかチェックする必要があります。

 いま求められているのは、子どもたちにつくり手が見える安全な給食であり、より小規模な市直営の調理場ではないでしょうか。以上の状況を踏まえ教育次長にお尋ね致します。

・民間委託業者の申請は、何件か。また募集期間を10日間としたのはなぜでしょうか。また、応募用件に銀行の融資証明書とあるが、申請者は融資証明書を提出できたのでしょうか。

・民設民営化により当初案では市費の栄養士が1名となるが、対象校に対する3,000名の「食の教育」が1名で出来るのでしょうか。

・今回の民設民営化で各調理場の対象校の配置をどうするのでしょうか。

半田教育次長答弁

 県に営養士配置を要望しており、充分に対応できると思う。


つづいて、質疑に移ります。

4.議案第98号 足利まちなか遊学館の利用料について

・特別の理由がある場合は減免するとありますが、特別な理由とはなんでしょうか。

・遊学館の性格は、市街地活性化の拠点か、観光の拠点にするのか中途半端にならないように幅広い市民の声を生かせるようにすべきではないでしょうか。

山地経済部長答弁

 地元の人たちの声を聞きながら、中心市街地活性化に向けて検討して行きたい。

5.議案第100号 足利市下水道条例の改正について

・下水道料金の値上げにより、下水道料金の滞納がさらに増大するのではないでしょうか。

・また、水洗化率の低下を招くのではないでしょうか。

飯野都市開発部長答弁

 コストの低減と合理化に努め水洗化の普及に努めていきたい。

以上で質問並びに質疑を終わらせていただきます。市長、並びに関係部局の明快な答弁をお願い致します。


傍聴しませんか.
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