平成21(2009)年第5回定例会(12月議会)
2009年12月09日質問

おぜき栄子市議の一般質問を掲載します.
段落や区切りは編集局でつけました.2009.12.11.

・自治体の本来の仕事(事業の見直し)
・安心してかかれる医療(社会保障としての国民健康保険)
・在宅介護支援(移送サービスの充実)

1.自治体の本来の仕事(事業の見直し)

 超不況のもとで、市民の暮らしは、大変になっています。足利市は中小企業の多い町ですが、仕事がないなど深刻な経済状況に陥っています。こうした情勢の中でいかに市民サービスを充実させるかが重要です。

 「行政サービスとしての必要性、実施主体のあり方および実施手法の妥当性について、判断する」として、60事業(総額約69億円)の仕分け作業が非営利のシンクタンク構想日本(約90万円)により、傍聴人330人(市民は約100人)が見守るなか行われました。

 こうした事業を市民にはじめて公開し内容を公表したことについては一定の評価ができますが、事業仕分けにより出された主な結果は、「廃止」が愛のひと声事業やひとり親家庭医療助成事業などの10事業、「民間移管」は敬老事業や公立保育所など3事業、「国・県への移管」は福祉用具給付・特定疾患者見舞金など3事業、「民間委託」は生活路線バス・学校給食運営など6事業、「要改善」は福祉タクシー・融資対策事業など33事業、「現行通り」としたものは放課後児童健全育成事業など8事業になりました。

 市は、この事業仕分けの結果を参考意見として、関係部署で今後の対応方針を決定し、庁議メンバーで構成する「足利市事務事業評価委員会」において調整を行い、平成22年度以降の予算編成および第6次足利市総合計画(後期)に反映させるとしています。

 今回の事業仕分けの大きな問題は、60事業のほとんどが市民の福祉・教育施策など公的サービスです。また、現場の声や市民の声は、全く入っておらず偏った事業仕分けと言わざるを得ません。福祉事業を「廃止または続行か」を議論する自体、自治体の責務を放棄することになるのではないでしょうか。また、仕分け作業に市民が参加せず、時間も短いこともあり、地に足のついた議論となっていないことが目立ちました。市財政の9割以上の事業が今回の仕分けの対象になっていないことも問題です。

 このような事業仕分けを行うに当たって全ての事業を見直し、本当に無駄といえる事業を市民を交えて論議することが、必要ではないでしょうか。

  以上のことから、市長にお尋ねします。

(1)事業仕分け60事業の結果は、廃止10事業、民間に移管3事業、民間委託が6事業、要改善が33事業、現行通り8事業でした。これを22年度予算へどのように反映するのでしょうか。

(2)事業仕分けは、地方自治体の役割である市民の安全・健康・福祉を守ることを主眼に不要不急の無駄を省くことを目的に進めるべきではないでしょうか。

(3)仕分け作業に上げられた介護慰労金、福祉用具給付(紙おむつ券)などの事業は、税金滞納を条件から外すべきではないでしょうか。

2、安心してかかれる医療(社会保障としての国民健康保険)

 受診の遅れから命を落とす、あるいは重症化する悲惨な事件が後を絶ちません。無職の方や非正規労働者、中小零細事業者などが集中する国民健康保険の保険証の取りあげ(資格証の発行)をやめることは、緊急を要する課題となっています。

 また、高すぎる国保税の引き下げ、免除・猶予制度(国保法77条)の拡充や、窓口負担の減額・免除制度(同44条)の創設・拡充が今ほど求められる時は、ありません。とりわけ、平成20年度予算において、後期高齢者医療制度導入に伴い、国保会計3億円余収入が減少するということから、国保税を一人当たり10,200円、世帯割2,400円、限度額も3万円と大幅に引き上げました。この引き上げは、所得に関係ないために低所得者ほど負担が重くのしかかります。

 ところが、20年度決算の結果は、4億6,000万円もの黒字会計となりました。主な理由は、後期高齢者が別の医療制度に移行したために医療費である保険給付費が3億5,000万円余減少したためとしました。この結果、国保税を引き上げる必要はなかった事が明白になりました。

 問題は滞納者が増え続けるなか、基金の取り崩しや一般会計からの繰り入れなどの市としての精一杯の努力をしなかったことです。 引き上げる前に行政として最大限の努力が求められます。保険税を引き上げたためにさらに滞納者が増え続け、保険証のとりあげで、たくさんの方が医者にかかれない状況に追い込まれています。

 以上のことから、市長にお尋ねします。

(1)平成21年度の国民健康保険特別会計は、前年度と比較して財政状況はどうでしょうか。

(2)平成20年度決算によって、保険税の引き上げを行う必要がなかったことが明らかになった。保険税の引き下げを行うべきではないでしょうか。

(3)新型インフルエンザの流行しているが、資格証世帯への配慮は、万全でしょうか。

3、在宅介護支援(移送サービスの充実)

 政府が介護保険を「社会保障の『構造改革』の突破口」と位置づけ、社会保障の原則を変質させる役割を担わせたことは、10年たった今日、明らかになっています。

 主な特徴は、 第1は、国庫負担の削減(従来の老人福祉二分の一負担を三分の一に縮小など)税方式(措置制度)から、社会保険方式に変更し、所得の有無、課税・非課税(高齢者の76%が非課税であったこと)を問わず、全ての人に保険料を課したことです。その上に、受けたサービスに応じて一割の利用料を徴収する制度(応益負担)に変更しました。それまでの措置制度のもとでは、低所得者が対象という制約はありましたが、訪問介護の83%がいっさいの無料であったことからも大きな様変わりです。

 第2は、「自由にサービスが選べる」をうたい文句に、規制緩和をテコとして、在宅介護分野に営利企業を参入させ、事業者と利用者との「直接契約」に変更したことです。「契約方式」は、社会保障からの公的責任の撤退を象徴するものといえます。

 第3は、このような改革のもとで、「家族介護」から「社会的介護へ」という政府の当初の宣伝が完全に破綻したことです。「介護疲れ」から痛ましい事件が後を絶たないこと。規制緩和、雇用破壊の大波に飲み込まれた福祉労働者の深刻な危機は、介護福祉そのものを脅かす事態となっています。

 現行の介護保険制度を存続させるためには、国庫負担を大幅に増やし、介護報酬を引き上げることが不可決です。自治体は、低所得のためにサービスを利用できない高齢者などへどう対策を取っていくのかが問われています。

 以上のことから、市長にお尋ねします。

(1)身体障害者で透析などの疾病のために通院治療を受ける場合、病院の送迎も困難になります。特に低所得者は、介護保険(身体介護)を受けても実費負担が払えず、医療を受けられない事態に追い込まれます。こうした命に係わる通院治療を保障する対策として福祉タクシー券交付枚数の増や実費負担の補助などが必要ではないでしょうか。

おぜき栄子の広場
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