平成15年(2003年)度第3回(6月)議会
会期:6月6日から6月24日の
質疑応答を掲載いたします.

段落や区切りは編集局でつけました.
2003.07/13

日本共産党を代表し、市長並びに関係部局にお尋ねいたします。当局の明解な答弁を求めます。


1.高齢者福祉と介護保険についてお尋ねします。

 介護保険が始まって3年が経過し、「家族介護から社会が支える制度へ」「在宅で安心できる介護へ」『サービスが選択できる制度へ」などと大宣伝していましたが、現実は、どうでしょか。

 ある83歳の男性は、要介護度2で82歳の妻に介護されてきました。ところが、妻が急に病気で亡くなり、娘さんは同居していましたが、働かなくてはならずケアマネージャーに、市内の老人保健施設やショートステイをさがしてもらったが満床とのことでした。

娘さんの話では、「仕方なく、市外の施設をあちこち探し、やっと親戚の紹介で桐生の老人保健施設を見つけ幸いにも入ることができた。たまたま見つけられたので良かったが、保険料を払いながら、なぜ、こんなに大変な思いをしなければならないのか。

ショートステイなどの緊急な対応をしてほしい。老人保健施設は、3ヶ月しか入れず、現在は病院へ入院中だが、また同じ老人保健施設へ入所予定、特養ホームの申し込みもしたが、ある施設は電話による申し込みができ、一方は、施設へ来てくれとのこと、市役所で特養ホームの申し込みをさせてほしい」、認定もさらにきびしくなり、介護度が軽くなった。家族は、サービス量に影響する介護度を実態に合った評価にして欲しいなど切実な声を寄せています。施設側では、この4月から、「施設報酬」が、減額され4%から5%の減収、年間1,000万円の収入減で人件費などを削減せざるを得ないなど訴えています。

特養ホームの待機者が511人(2002.12月現在)、老健施設も2ヵ月待ち、ショートステイも施設により、来年の3月まで満床、2ヵ月先まで満床、土日は満床、などばらつきがあり緊急時の対策が早急に求められます。

 保険料・利用料の問題では、足利市の高齢者数は、33,661人のうち、非課税者は、26,796人で高齢者全体の79.6%です。8割の方が、わずかな年金から、保険料が天引きされます。この4月から、介護サービス利用量の増を見込んで介護保険料が、介護給付費準備基金5億円もありながら、引き上げされました。今回の引き上げで、低所得者への一定の軽減措置で、1,037人(生活保護者287人)の方は、13,800円となり、老齢福祉年金受給者2,200円、非課税世帯10,200円軽減されます。しかし、申請手続きにより、軽減するとのことなので今後、注意しなければなりません。一定の軽減措置をしたとしても、他の低所得者への影響は甚大です。介護保険料基準額は、34,500円《現行より、2,500円引き上げ)です。今回の保険料の引き上げ所要額は、8280万円です。前年度より増額となった保険料の総額は、約1億2600万円です。

 認定者・サービス量の増加の毎に保険料を引き上げ、高齢者の負担を強いるやり方は、やめさせるべきです。国に対して国庫負担を増やすように働きかけるべきです。国が、年金の引き下げ、医療負担を押し付ける中で、財源がありながら、保険料を引き上げるやりかたは、冷たい市政といわざるをえません。介護給付費準備基金を活用して、保険料を元に戻し、低所得者の保険料を減免するべきです。無年金者などの普通徴収の滞納者は、895人、滞納額:約2730万円です。無収入の方からも保険料をとりたててるやり方は、早急に改善されなければなりません。在宅サービスの利用率も31%と低い状況です。利用料の引き下げが急務です。特に低所得者の利用料は、一般会計から繰り入れ、全てのサービスを3%にするべきです。

 介護保険制度を守る立場からも、元気なお年寄りを支援する地域の取組みが重要です。高齢者が、安心して集まれる交流の場を提供し、昼食やおやつなどを出して、一日を楽しく過せる場所を作りたいと願っている人達が増えています。こうした声に応えるように地域起こしでもある、空き店舗や空き家などかかる費用を助成して、高齢者を応援するべきではないでしょうか。市民会議の健康・元気アップ対策、空き店舗対策にも合致するのではないでしょうか。

市長にお尋ね致します。

* 高齢者・家族の緊急事態に対処できるように、市としてショートステイのベッドを一定数買い上げるなど、常時確保するべきではないか。

市民福祉部長:現在市内のショートステイのベッドを有する施設の稼動率は6から7割程度で、十分緊急事態に対応できる。 

* 今後の介護保険に剰余金が出た場合は、介護給付費準備基金として積みたてるのか。

市民福祉部長:剰余金が出る場合は繰り越して支払うべきものを除き、予見できない保険給付費準備基金に積みたてるべきと考えています。限度額は差し控えます。

* 低所得者の介護保険料・利用料の減免を行い、7月からも低所得者の訪問介護利用料を引き続き3%で おこなうべきではないか。

市民福祉部長:保険料は低所得者に十分な配慮をしている。訪問介護利用料は国の方針通りに3%から6%に引き上げる。

* 元気な高齢者を応援する「高齢者の居場所づくり」などの取組みについて、地域にある空き店舗や空き家を利用する場合、家賃等を助成できないか。

 市民福祉部長:14年度から「ふれあいサロン」の設置を推進、開設時、登録時に必要な物の購入費として一律2万円の補助を行っているので、家賃の補助は考えていない。


2.国民健康保健制度について

 今の国民健康保険制度は、1958年(昭和33)、国が率先して国民皆保険、他の健康保険に入っていない全ての人が加入者として発足した国の制度です。市民の41.6%、67,000人余が加入する国民健康保険は、重大な危機に直面しています。

 国保税を払えない世帯が、県の資料によると、足利市の国保加入世帯数の約10.7%、 3,495世帯(2002.10月)に達しています。重大なことは、滞納世帯の増大に 呼応して、保険証《国保証)の取り上げの制裁措置が増え続けています。国保証がないために、医者にかかれない状況に追い込まれています。国民の健康(生命)を支えてきた国民皆保険の制度は、崩壊の危機にあります。

 なぜこんな事態になったのでしょうか。1984年の国保法の改悪を皮切りに、国庫負担を引き下げてきたことが最大の要因です。もともと財政基盤が弱い市の国保財政は急速にゆきづまり、保険税の値上げとなって住民にしわよせされました。

 その上に不況の追い討ちです。所得が減る中で保険税は上がり続ける、滞納者が増えて財政が悪化すると、保険税がさらに引き上げられ、必死で頑張ってきた方たちも支払い不能におちいり、滞納世帯が増え続ける悪循環です。矛盾に拍車をかけたのが、97年の国保法改悪(小泉厚生大臣・当時)です。滞納世帯から国保証を取り上げることを市町村の『義務」としたことです。これにより、資格証の交付が増大し、滞納世帯を更に増加させました。

 国保制度の改善はまったなしです。68歳の男性は、無年金で、毎日数千円の日銭を稼いで生活をしのいで来ました。

 保険税も払えず、交通事故に遭っても、保険証がないことを心配して示談にしてしまったそうです。最近、その後遺症で、腰痛がひどくなってきた。そのために働くことも しんどくなって相談を寄せてきました。

 50代の男性は、失業して収入がなく、高血圧がありながら、保険証がないために医者にかかれず困っていました。まさに命に係る事態になっているにもかかわらず、資格証を発行しています。資格証交付世帯1,156件、短期保険証交付世帯1,655件と県内の12市の中で、ともに3番目に多い市となっています。空前の失業と不況にあえぐ住民の現状は、「特別の事情」 そのものです。

 北海道の旭川市は、「特別の事情」に市独自の基準をつくり、借り入れ金返済のために保険税を納付することが困難な場合や世帯の中に 失業者が出た場合も、「特別の事情」に該当するとして資格証の発行を抑制しています。足利市は,中小企業の多い街です。倒産やリストラによる失業者が、増え続けています。市の裁量権を行使し、「特別の事情」を住民の実態に応じて拡充し、資格証の発行はやめるべきです。

 今、国保加入者の約半数は、年金生活者など無職の人たちであり、1世帯当りの平均所得は、約198万円(2000年度)にすぎません。それでも平均の保険税は15万円です。憲法25条は、『健康で文化的な最低限度の生活」を国民に保障しています。生活扶助費は、標準3人世帯(大都市)で年間195万円程度です。ところが、国保世帯には、生活保護基準以下でも容赦なく保険税が課されており、まさに憲法に抵触する事態が横行しているのです。国保税を引き下げ、誰でもが払える国保税にすることこそ、市民の切実な願いです。そのためにも、国保税の減免制度を広く市民に知らせるべきではないでしょうか。

 国保再建のためには、84年当時の水準の国庫負担率を医療費の38.5%から45%へ元に戻すこと、サラリーマンの3割負担を中止し、国保の患者負担を約束通り、2割(84年)に引き下げるよう国に対して働きかけるべきです。国民健康保険制度は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とすると国民健康保険法に述べられています。

以上の状況を踏まえ、市長にお尋ね致します。

* 資格証を交付しているすべての世帯の実態調査を行うべきではないか。

市民福祉部長:納税相談や電話相談、税の訪問徴収時などに家庭の調査実施を行っており、あらためて実態調査を行うことはない。

* 倒産した業者やリストラされた失業者は、前年度の所得に課せられ保険税が高すぎて払えない状況に追い込まれています。これらの場合、「特別の事情」として減免をおこなうべきではないか。

市民福祉部長:納税相談、及び減免の申請に基づき担税力について調査を行い、真に救済を必要とする方には適切な処置を行っていく。

* 資格証の交付をすることで、不況も加わり収納率を悪化させ、 保険税を引き上げ、滞納者をさらに増加させているのではないでしょうか。命にかかわる資格証・短期証の交付は、やめるべきではないか。

市民福祉部長:納税相談、及び減免の申請に基づき担税力について調査を行い、適切な処置を行っていく。資格証・短期証の交付は引き続き行う。

* 健全な国保財政をつくっていくためにも、安心して医者にかかれるよう、高すぎて払えない昨年引き上げた保険税を所得に応じた応能割中心の保険税にもどすべきではないか。

市民福祉部長:国民健康保険の持つ相互扶助の精神や受益者負担の原則等を考慮し、応能割中心の国民健康税に戻すことは不可能。

*申請減免制度を広く市民に知らせる方策をとるべきではないか。

市民福祉部長:市民への周知方策については、税の減免制度は例外的な税の救済措置ですが、市民に理解が得られるよう今後検討していきます。


3.少子化対策について

「どの子どもも安心して病院にかかれるようにしてほしい」との声は、全国の若いお父さん、お母さんの切実な願いです。とくに、女性は、少子化対策として政府や自治体に望むことは、「子育ての経済的支援」をあげています。日本の子どもの医療費自己負担が先進諸国のなかで最も重く、イギリス、イタリア、ドイツ、カナダ、スウェーデンなどは、無料です。収入の低い若い世帯には、大きな負担となっています。

 いま、子育てをめぐる環境は、劣悪です。合計特殊出生率は90年の1.57から、2002年には1.32(本県1.40)に低下し、史上最低を更新しています。マスコミなどでも「経済的不安が出産抑制の一因」と報道されています。

安心できる子育て支援の一貫として、医療費助成の年令の引き上げを小学生低学年から段階的におこなうべきです。

とくに低学年は、体力もなく風邪にもかかりやすく喘息、アレルギーなど病院にかかることも多い。小学生を2人かかえるお母さんは、学校検診で歯科、眼科、耳鼻科などの受診をすすめられ、月5,000円かかった、医療費を無料化してほしい。

医療費助成の引き上げを実施している自治体は、小学生まで13自治体、中学生まで、19自治体に広がっています。県内では、小学3年生まで、西方町、粟野町、烏山町、小学6年生まで、茂木町、氏家町、中学生まで、足尾町、芳賀町、那須町で、医療費助成の年令引き上げを実施しています。西方町は、医療費の窓口無料です。

医療費の窓口無料化は、乳幼児が急病のとき、「お金の心配なしに医者にとびこめる」、この安心感が制度への信頼を増し、子育て世帯への応援になります。子育てや仕事をかかえ、母親は、一番忙しい時期です。若いお母さんたちに「行政に対して望むことは、何ですか」と尋ねると必ず、「乳幼児医療費を窓口で無料にして欲しい」と訴えます。申請をしそびれたり、手続きが面倒なため、せっかくある無料制度なのに利用されていない例もあるそうです。

「窓口で無料にして欲しい」という要求は、多くの親の願いです。現在実施している自治体は、29都道府県で、現物支給が増え続けています。現在、厚生労働省は、乳幼児医療費助成の「現物給付」(窓口無料制度)を行っている市区町村に対して、国民健康保険の国庫補助金を減額調整するという制裁措置をかけています。この制裁措置の廃止と乳幼児医療費無料のための国の制度化の実現を国に対して働きかけるべきです。

そこで市長にお尋ねいたします。

* 乳幼児医療費助成を段階的に中学生まで引き上げ、窓口無料化をおこなうべきではないでしょうか。また、小学生、中学生の医療費はそれぞれどのくらいとなっているのか。

市民福祉部長:年令の引き上げについては財政事情を考慮し現行通り実施。窓口無料化は現物給付の自治体に対し国民健康保険の国庫負担金の減額措置がとられていますが、今後も県市長会などを通じ、県、国に対し積極的に働きかけを行っていく。小学生、中学生の医療費は小学生で1億5千万円、中学校は6千800万円で、合計2億1千800万円


4.地方議会の権限について

 地方議会は、それぞれの地域住民の意思を代表する機能、条例を制定、予算の議決をはじめ、自治体の行政の基本を決める機能、行政執行機関を監視し、公正で民主的、効率的な行政がおこなわれるように批判・監視する機能をもっています。

 この機能を果たすために多くの権限をもっています。そのなかで、議会に与えられている最も重要な権限が議決権です。 こうした観点から、本会議での議案に対して質疑、討論をおこなうことは、当然のことではないか。臨時議会で、わたしの再質問に対して「全協で質問、説明した通り」と市長が答弁し、質問に対し答弁を行わなかったことは、議会の軽視ではないか。法的な根拠もない全員協議会をどのようにとらえているか。

市長:本件については議会運営上の問題であり議会内で十分に議論すべきものと考えている。全員協議会というのは、議論するところで、そこで議論をしないで本会議だけでというのは決して好ましいスタイルではない。

(注:「本会議だけで議論することが好ましくないないと言っている。」このことが、議会軽視だという認識が市長にはありません)


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